「簿記3級レベルは社会人全員の必修基礎知識です」と言っているビジネス系YouTuberがたくさんいたので「そうなのか…」と、挑戦してみたレポートです。
日商簿記3級概要
商品を仕入れて売る。いわゆる一般的な商業で使われる「商業簿記」の仕組みを学ぶための資格です。3級なので入門編。実際世の中的にもビジネスパーソンの登竜門という位置付け。
ひとくちに「簿記」と言っても簿記検定には日本商工会議所が主催する「日商簿記」、全国経理教育協会が主催する「全経簿記」、全国商業高等学校協会主催の「全商簿記」の3種類があります。
いずれも簿記なので学ぶ内容は同じなのですが、じゃあ何が違うの?というと、難易度。日商簿記の3級が他でいうところの2級レベルに属するので最も難易度が高く、その代わりに知名度も高いです。なので一般に「簿記」と言われてイメージされるのはこの日商簿記。
受験方法は2月、6月、11月の年3回実施されるペーパー試験と、 年中実施されているPCを使ったネット試験(CBT方式)があります。
どちらで受かっても価値は同じなので個人的にはネット試験をオススメ。勉強を終え「よしバッチリだ」と思ったらすぐ受験することができるため、試験日を待たず自分のスケジュールで資格取得できるので。
なお紙だと合否判定まで時間がかかりますが、CBTなら受験後即合否が分かります。CBTで受かった場合、合格証書はウェブからダウンロード。時代を感じますね〜。
結論、取得してみてどうだったのか?
転職に活かせるか?というと、そこは微妙だと思います。持っていないよりは持っていた方が良いものの、一般に評価されるのは日商簿記2級からなので。
ただ私は「社会人として必須知識なら知っておきたい」というのが勉強した動機だったので、その点では意味がありました。経理や営業には当たり前でも職種によっては馴染みがないままになりそうな内容を学べたので。簿記勉強するまで「当座預金」なんて単語、触れる機会もなかったですし。
ただ…これは現在2級を勉強していて思うのですが。実社会では2級で勉強する内容までが頻出だなと感じます。2級の範囲全てが必須とは思いませんが、3級だと学ばない領域が割とあるなと。
なので3級を取得してみて「まだやれそうかも」と思えば2級への挑戦もオススメします(まだ取っていない私が言うのもアレですが)。
他に簿記3級を取ってメリットに感じた点ととしては、数字に対する苦手意識の減少があげられるかと。勉強の過程で大きな数字を大量に計算することになるので嫌でも数字に慣れます。とはいえ高度な計算などではなく、単純だけど処理する量が多いといった感じですが。
桁の大きな数字を読むことや電卓の扱いにも慣れたので、業務の中で数字に関する処理をする際に「あ、簿記の勉強活きたかも」と実感する機会は度々ありました。
余談ですが。
簿記3級で学ぶ内容に「貸借平均の原理」というものがありまして。これってハガレンの「理解・分解・再構築」に並ぶ普遍の原理だなと思っています。全ての事象には借方・貸方がある。
私の勉強時間や勉強方法、注意点など
勉強時間
一般に簿記3級を独学で勉強した場合の、取得までの目安時間は100時間と言われているそうで。
私の場合某大手通信講座を受講したのですが、無理ないペースで勉強しつつ絶対合格できる自信を持てるようになるまで理解することを目標に取り組んで、期間は約半年でした。毎日平均すると1時間も出来ていなかったように思うので、トータル140時間くらいでしょうか。
平均の1.4倍時間をかけただけあって一回で取得はできましたが、自分としても勉強内容が不向きなジャンルに感じたので、一般的にはやはりもう少し短い時間で習得できるものかもです。
勉強方法
今回、基本情報技術者(FE)試験のときと勉強の勝手が違ったのは、電車の中での勉強有無でした。
FEのときは電車の中でも過去問をスマホ片手に勉強できたのですが、簿記はそれが無理で。というのも、結局仕訳を切ったりB/S、P/Lを作るにあたり電卓たたいたりって作業は机の上でないとできなかったので「勉強できる環境」は限られていたと思います。
実際、通信講座の講師の方も「簿記は技術職なので、頭で理解するのではなく実際に手を動かし『できる』ようになることが大事」とおっしゃってました。
とはいえ移動時間も活用したいなってことで、電車の中では講義の動画をひたすら観続け、実際に手を動かす環境を作れた際に動画で観た単元に載っている例題をまとめて解いていく…というやり方をしていましたが、これはやはり、あまり効率が良くなかったと思います。
理想は動画観て問題解いてを1セットでやりつつ、一通り動画を観終えたらあとは問題集をひたすら解く…というシンプルな流れ。今回の勉強方法だと動画観てから例題を解くまで間が空く分、例題を解く際に不明点があるとそのタイミングでまた動画を観返す時間が余分に発生してしまったので。
きっちり勉強できる環境と時間を用意して集中して取り組めば、時間は前述の勉強時間から、もう30時間くらいは減らせたんじゃないかと。つまり、無駄に動画を見ていた時間が多かったなと…。
なお独学で取る方も多い簿記3級を通信講座で受けたのは「簿記1級を持っているにも関わらず、簿記の根本を理解していない人がいる」とか「記憶力で簿記試験を乗り切ってしまうと応用が利かない」などの話を聞いたので、独学で変な癖がつくよりも素直に講義受けた方が良いかな?と思ったからです。
実際は…やはり講義は受けておいて良かったかなと。独学だと仕訳パターンを暗記して乗り切ってしまう方もいるそうなので。確かにそれだと根本の理解不足に繋がってしまいそう。でもアレを全部暗記っていうのも、それはそれで凄いなと思いますが…。
ただ、講義を受けるにあたりお金は使う必要ないです。というのも3級取得後知ったのですが下記のサイトで無料で勉強できるので。
CPA会計学院運営サイトへのリンク↓
資格取得後上記サイトの3級講座の動画を観てみたのですが、全っ然これで十分な内容でした。むしろ丁寧で分かりやすい。しかもテキスト・問題集のPDFは無料でダウンロードできる。やろうと思えば完全無料で勉強可能。
取得前にここを知っていれば…とは思ったものの、まぁ、有料講座を受けたから比較できたわけなので良しとします。
なので今後取得を考えている方は一度上記をお試しいただければと。弱点としては質問ができない点だと思うのですが、私は質問をするのが苦手でマイペースに自分で考えて理解したいタイプなので、そういった方には本当にオススメです。
個人的に難しかった点や注意点
今回簿記3級を勉強してみて難しかったのは、時短と凡ミス対策でした。
凡ミス、これは本当に多かった…。仕訳のミス、計算ミス、計算モレ…途中本当に不向きだなと挫けそうになったこともしばしば。
簿記の根本ルールの理解もクセがあり慣れが必要なのですが、それ以上に時短やミスの対策が重要だったように感じます。
仕訳で略語を使ったり、考えなくても仕訳が浮かぶくらい仕訳の練習をすることで仕訳にかける時間を短くする⇒時間に余裕ができると計算にかけられる時間的・精神的ゆとりも生まれるので、ミスが減る
…という感じで改善していきました。まぁつまり、ここでも数をこなすことが活きてくるというわけですね。講師の方がおっしゃっていた「簿記は技術職」というのは、こういった点も指していたのかなぁ、と。一朝一夕で得るものではなく、反復練習を繰り返すことで頭と体に馴染ませるもの、という意味だったのかな、と。
また1点、これから取得を目指す皆さんにご注意いただきたいのは、1時間という試験時間は思っているよりも余裕がないということ。
もともと2時間あった試験時間が、CBT導入の2021年から1時間に減りまして。通信講座の模試(試験時間2時間想定の頃の内容)ならほぼ満点取れる状態で試験に挑んだのに、CBT試験当日は予想外に時間が足りなくなり焦ってバタバタして試験終えた結果、76点での合格だったので。結構ギリギリやないかっ…!
ということで、皆さんはちゃんと本番想定の模試をしてくださいね。最後の最後で「もうわからない部分ほぼないし、余裕っしょ!」と舐めプして落ちかけた私みたいになりませぬよう。
2級取得時は改めてレポートします
2級は果たしていつとれることやら…ということで、取得の際は改めてレポートします!